キスまでする友達、いわゆる「キスフレ」が増えていると話題になっています。アンケート調査によると36%の女性が「キスフレ」が「いる」と回答したという結果が発表されました。
この数字を見てあなたはどんな印象ををたれるでしょうか?およそ3人に1人に「キスフレ」がいる、ということなので驚かれる方も多いかもしれません。ただ、こういった数字だけをみて鵜呑みにするのは早計かも知れません。私たちはこの数字が、具体的にどのような調査で出されたものなのかに注意する必要があるのではないでしょうか?
アンケートの性質を考えましょう。
アンケートというのは基本的には任意な回答になります。そのため、アンケートに参加する人と参加しない人でそもそも偏りが生じてしまうことを知っておく必要があります。例えば、大学が卒業生の平均所得を調べるために郵送でアンケートを行った場合を想像してみてください。
このような場合には、高所得の人のほうが回答率が大きくなる傾向があります。なぜなら所得の低い人は給料を知らせることを嫌がる傾向があり、そのため回答率が下がります。
したがって、この場合では所得平均を引き下げる人は、始めからアンケートに参加していないことになります。そのため、得られる調査結果は実際よりも高い平均所得となるでしょう。
このようにアンケートという方法自体が、どうしても偏りが生まれてしまうという前提を知っておきましょう。
では次に、アンケート調査の方法をみていきましょう。
アンケート調査は「どのような人たち」に「どのような方法」で?
私たちが調査結果の数字にふりまわされないためには、2つの意識するポイントがあります。それはその調査が①「どのような人たち」に②「どのような方法」で行われたかという部分です。これらが結果にどのような影響を与えるのか例をあげました。
「どのような人たち」に、という極端な例ですが、たとえば「サッカーを観戦に行ったことがあるか」というアンケートを行う際に、サッカー観戦が楽しめるバーにいる人を対象にアンケートを行う場合と、ファミレスにいる人を対象にアンケートを行う場合では、前者のほうが「行ったことがある」と答える割合が多くなることが予想されます。
「どのような方法」というアンケートの方法としては街頭インタビュー、インターネットアンケートなどのいくつか種類がありますが、行う方法によって必然的に偏りが生まれてしまいます。たとえばインターネット調査の場合はそもそもインターネットが使える人しか回答することができません。このためインターネット調査という方法で調査した場合は、高齢者の回答数は少なくなることが予想されます。
このように「どのような人たち」に「どのような方法」でを知ることで行われた調査が極端でないか、偏りがないかを把握することができます。
36%の女性が「キスフレ」いると回答!この調査方法を把握してみましょう。
まず、実際に「どのような人たち」に「どのような方法」で調査をしたのか見てみましょう。
以下マイナビニュースより引用
“スマートフォン向け女性限定の完全匿名掲示板「GIRL’S TALK」にて、キスまでする男友達”キスフレ”に関するアンケート調査を実施し結果を発表した。調査期間は2月19日~2月21日で、619人の回答を得た。”
引用ここまで
これによると「どのような人たち」はスマートフォン向け女性限定の完全匿名掲示板「GIRL’S TALK」のユーザーであることがわかります。調査方法は記載がありませんがインターネットアンケートの可能性が高いでしょう。
今回の完全匿名掲示板などは先ほど例に挙げた、「サッカー観戦が楽しめるバー」のようにある程度同じような性質、悩みをもったニッチなユーザーが集まりやすいことが予想されます。
そのため、今回の36%という数字は、より一般大衆にアンケート対象を広げた場合には、もう少し低くなるのかな、と私は考えています。
結局私たちは数字を見る上で何が大事なのでしょうか?
調査結果の数字にインパクトがあると調査方法などが妥当か考えられないまま、数字が1人歩きしてしまうことがあります。私たちが必要なことは、与えられた数字もそのまま鵜呑みにするのでなく、自分の考えを持った上で数字を解釈することが大事なのかと思います。