前回は風疹接種が必要な人、接種の際の注意点を記事にしました。
(参考:風疹流行。妊婦の感染で胎児に障害のリスク。「妊婦がいる男性、妊娠希望の奥さんがいる男性」や「妊娠を希望している女性」は予防接種を検討

今回は妊婦が風疹にかかった場合の胎児のリスク、感染期間、予防接種の効果、免疫があるかの考え方を記事にしました。

風疹がなぜ怖いのか。前回の記事でも軽く触れましたが、具体的に何が起こる可能性があるのでしょうか?妊婦が風疹ウイルスに感染すると、胎児が難聴、心疾患、白内障、精神運動発達遅滞等の障害をもつ可能性があります。発生する確率については、妊娠 20 週までの期間に感染した場合には 20~25%、特に妊娠 12 週までに限定すると 25~90%と報告されており、12 週以内の感染の場合に危険性が高いというのが、世界的に一致した見解とされています。

潜伏期間は 2~3 週間です。風疹ウイルスは飛沫感染しますが、感染性があるのは、発疹の出る 2~3 日前から発疹が出たあとの 5 日間くらいまでといわれています。

風疹の感染を防ぐために、予防接種が行われるわけですが、風疹ワクチンの効果は高く95% 以上の人が免疫を獲得します。

風疹の免疫がすでにある場合に風疹ワクチンを接種したとしても問題はなく、抗体価が低い場合は抗体価を高めることになります(ブースター効果)。そのため、接種前の抗体検査(免疫があるかの検査)は省いても問題ないとされています。

なお、風疹は多くの場合、症状からでは他の同じような症状の病気との区別がつかず、確定診断には検査診断が必要です。そのため「風疹に罹患したという記憶」から免疫があると信じることは検査結果がない限り危険とされます。同様に「予防接種歴がある」とは、「接種の記憶」ではなく「接種の記録」があることが重要とされています。